かける前にこれだけは準備しよう - “気働き”コミュニケーション術・電話編⑥

瞬時の判断に必要なものをそろえよう

 分かりやすく、しかも手短に用件を伝えるためには、電話をかける前に考えておくべきことがあります。ポイントをいくつかご紹介していきましょう。
 基本は「先を読む」こと。相手の状況、必要になるものやことを読むのです。

 ペンとメモ、相手の名刺などの準備は定番中の定番ですね。「話すべき内容」を箇条書きにして、チェックリスト化しておくと便利。これもすでに実践されていることでしょう。先にお伝えしたとおり、コミュニケーションは瞬時の判断。電話をかける前には、この瞬時の判断をサポートしてくれるような準備を整えましょう。
 たとえば「提出した見積書の内容」について話すのであれば、見積書はもちろん電卓は必需品。併せて過去の取引内容やこれまでのメールのやり取りをすぐに調べられるようにしておく――などがオススメです。同時に、相手の出方をいくつか想定し、それぞれ事前に大まかな対応策を練っておきましょう。「大幅な値引き」を迫られたときなども、前もって作戦が立ててあれば、慌てずに対応できるはずです。

次に考えたいのは、電話をかける時間帯です。前もって「かけても大丈夫な時刻」をメールのやり取りなどで確認できていれば、その時刻にかけるようにします。
遅刻は論外。また、たとえ2~3分であっても早いのは迷惑です。プロのビジネスパーソンとしての“心意気”を示すためにも、「時報と同時に呼び出し音が鳴る」くらいの「時刻ちょうど(Just on time.)」を目指しましょう。
事前の約束がない場合は、相手が忙しい時間帯を避けるようにします。
週明け、月曜の午前中は週末の間に滞った案件の処理などで、たいていの人が忙しいとみるべきです。同様に金曜の終業時刻近辺も、なにかと案件の処理が立て込むことが多いですね。特に3連休の直前などは、ゆっくり電話で話すには向いていない時間帯と考えていいでしょう。
もしも、その人と何度か電話で話したことがあるのでしたら、「午前中はたいていピリピリしている」とか「どちらかというと午後なら、積極的に話してくれる印象がある」などの手掛かりがつかめているはず。ぜひ有効に活用しましょう。
そしてもちろん、運良くすぐに電話がつながっても、「ただいま、お時間よろしいでしょうか?」のひと言を忘れずに!

便利な機能が“落とし穴”にならないように!

 リダイヤル機能のある携帯電話(スマホを除く)からかける場合、かける時刻の少し前に一度ダイヤルしておく方法もオススメです。いちいち電話帳から探さなくても、リダイヤルボタンでかけられるので、特に出先などでは便利ですね。
ただし、これには注意事項が2つあります。
ひとつは事前のダイヤルが間違っても「ワン切り」にならないようにすること。切るタイミングを誤ると相手の電話の呼び出し音が鳴ってしまうばかりか、「ワン切りの発信者はあなた」という履歴が残ってしまいます。
もうひとつは、事前ダイヤルの後にほかの電話をかけないこと。ほかの電話をかけてしまったときは当然、再度の事前ダイヤルが必要になります。これを忘れたままリダイヤルしてしまい、間違ったところへ電話をかけてしまうケースには注意が必要です。この場合、かかってしまった相手には迷惑電話となり、しかも肝心の相手への電話が約束の時刻に遅れてしまうという「ダブルの失敗」につながってしまいます。

 携帯やスマートフォンからかける場合は、「携帯からおかけしています」というひと言があると丁寧ですね。最近は電波の状態もだいぶ改善され、それほどの頻度ではありませんが、以前は「携帯は途中で切れるのが当たり前」というくらい不確かな通信手段でした。
 これは、外出先からメールを送る場合にも応用できます。「あいにく出先です」という一文があれば、あまり丁寧なメールが送れない状況であることが、相手に伝わるのです。