電話の声と肉声はこれほど違う! “気働き”コミュニケーション術・電話編②
「聴覚」のみによるコミュニケーション
以前に比べて出番が減る傾向にあるとはいえ、電話が重要なビジネスツールであることに変わりはありません。たとえば緊急事態が発生した際、リアルタイムで上司に相談しながら解決への指示を仰ぐなど、メールのやり取りでは到底追いつかないような場面も多々あるでしょう。
職場にかかってくる電話への受け答えの仕方によって、会社全体のイメージが大きく左右されることは、説明するまでもないですね。
電話によるコミュニケーション、最大の特徴は「相手の表情や態度が見えない」ことです。
人間が外界の状況をキャッチするのに五感それぞれが果たす割合は、おおよそ次のように考えられています。
・視覚=83%
・聴覚=11%
・嗅覚=3.5%
・触覚=1.5%
・味覚=1%
すなわち電話の場合、五感の中で最も大きな割合を占める「視覚」が使えず、わずか11%を占めるにすぎない「聴覚」のみによるコミュニケーション。対面での会話に比べて、さらに明瞭な発音、発声、丁寧な言葉づかいが求められるのです。
また、実際の会話においては相手の声や言葉の「わずかな変化」をとらえ、細やかに対応していくことが求められます。対面の場合以上の気配り、気働きが必要になるのが、電話によるコミュニケーションなのです。
電話ではあなたの声が「暗い印象」になる!?
もうひとつの特徴は、声の質が「肉声」とは違ってくる点です。ICレコーダーやスマートフォンの録音機能を使って、一度自分でチェックしてみることをオススメします。
「お電話ありがとうございます。○○会社、○○でございます」
と、普段あなたが仕事で使っているフレーズを録音してみるのです。すると、機械を通したあなたの声がどんな印象で相手に届くのかがわかります。最近の電話は性能が素晴らしく良くなっていますが、やはり「こもる」感じに聞こえると思います。そして、自分で考えているよりも「低く」感じるでしょう。つまり、電話を通したあなたの声は、肉声に比べると「暗い印象」になってしまうのです。
声の変化を確認できたら、今度は対策を考えましょう。文字で書くのはなかなか難しいのですが、ひと言でいえば、
高めの明るい張りのある声で。
が、基本。これを常に意識することが大切です。「張りのある声」というのは分かりにくいかもしれません。普段の自分の声と比べて緩まないように、適度なテンションを維持した声――と、イメージしてみてください。
加えて、電話に出るときの「表情」も大切です。「電話は声で話すもの。表情は関係ないのでは?」と、お考えの方もいることでしょう。しかし、前項でご紹介したとおり「表情と声は(見事に!)連動している」のです。豊かな表情で電話を受けると、自然に声も豊かになります。
電話が鳴ったらすぐに「素のまま」で出るのではなく、一度ニコッとしてから出るようにします。少し口角を上げてから「お電話、ありがとうございます」と、第一声を出すようにするのです。
呼び出し音→顔の準備(口角を上げる)→第一声(高めの明るい張りのある声で)
この一連のプロセスが、あなたの「エゴエ」(笑声)の出し方。練習を重ねると、徐々に無意識にできるようになってきます。何度か練習したら、もう一度「録音~チェック」をしてみましょう。ぜひ、練習する前の声と聞き比べてみてください。