ファミコン語、若者言葉は卒業しよう - “気働き”コミュニケーション術②
「資料になります」~ファミコン語とは決別を
「よろしかったでしょうか?」のように、ファミレスやコンビニで働く若者が接客時に使うような言い回しを、「ファミコン語」と私は呼んでいます。言葉づかいの乱れの具体例として、各所で取り上げられているのは、ご存じのとおりです。
たとえば、オフィスへの入館カードの記入を促す際に、
「こちらお名前のほう、ご記入ください」
上司に目を通してもらった書類を受け取る際に、
「これで、よろしかったでしょうか」
会議室で資料を手渡しながら、
「こちら本日の資料になります」
店舗での販売実習の際に、
「5千円からお預かりいたします」……。
聞き方によっては丁寧な言葉づかいのように感じる人がいるのかもしれません。しかし、より“真っ当”な言葉づかいを学んできた人にとっては、
「入社早々、研修も受けられないほど忙しかったのですか?」
と、少々の皮肉を込めて注意してあげたくなることでしょう。
一度、習慣化したものを“直す”のは容易ではありませんが、社会人、ビジネスパーソンとしては、こうした言い方と“決別”することが必要です。
では、実際に言い換えてみましょう。
「こちらにお名前をご記入(お書き)ください」
「これで、よろしいでしょうか」
「こちらが本日の資料です」
「5千円、お預かりいたします」
社会人の言葉づかいとして「ふさわしい」のは、果たしてどちらでしょうか。
「超ハマる」~若者言葉からは卒業を
「○○君、最近は週末、どんなことやっているの?」
「はい、先輩。いまランニングにハマってます」
「へぇ~。でも、疲れない?」
「いえ、疲れるどころか、超~気持ちいいっす!」
「……」
せっかく話しかけてくれた先輩も、これでは会話を続ける気持ちになれないでしょう。原因は、言うまでもなく「言葉づかい」。「ハマる」「超~」「~っす」など、社会人として使うべき言葉ではありませんね。
学生時代、あるいは友人同士であれば、特に丁寧な言葉づかいをしなかったとしても、お互いさま、以心伝心でよかったかもしれません。しかし、社会人として生きるということは、「選べない人間関係」の中に身を置くこと。丁寧な言い回しや相手を思いやる気持ちがとても大切です。
以前に比べてフラットな社会になったとはいえ、会社組織の多くはいまだ縦型社会。上司や先輩との良好な関係を築くうえでも、こうした若者言葉からは卒業すべきです。
もしも、あなたが20代であれば、このコラムとの“出合い”が最後のチャンスと考えていいでしょう。もう一度、基本に立ち返ってやり直すことも、今なら決して不可能ではありません。
反対に、修整することなく年齢を重ねていったとしましょう。いい加減な言葉づかいに周囲が気づいたとしても、あなたへの忠告を“遠慮する”ようになるでしょう。その結果、もう誰も教えてくれない――という事態を招くことになるのです。
先ほどのやり取りを、
「ハマる」→「夢中になる」
「超~」→「とても~」
「~っす」→「です」
と言い換えてみましょう。ぜひ、読み比べてみてください。
「○○君、最近は週末、どんなことやっているの?」
「はい、先輩。いまランニングに夢中になっています(夢中です)」
「へぇ~。でも、疲れない?」
「いえ、疲れるどころか、とても気持ちがいいです!」
「なるほど! 実は私も始めたいと思っていたところ。もっと話を聞かせてほしいな~。ランチでも一緒にどう?」……。